ビデオオンデマンド編(※一教員としての感想です)
遠隔授業の対応について、ついてこれる学生がいないかもと言う不安は、やはり学生の反応を肌で感じ取れないことが大きい。教員は学生の表情や仕草など言葉には乗らない微妙な反応で、理解度を判定しているところがある。この問題を遠隔授業でクリアするため「自分なりに授業の内容をまとめる」という課題を課しているが、これが正解なのかは授業が終わってからでないと判明しない。
手探りの遠隔授業が始まって2週目、同様の不安を抱える教員からの問い合わせがちらほら増えてきた。課題を課しても提出しない。掲示やメールで連絡しても反応が無い。教員はこういった状況にタフでないといけないのだが、どうしても「授業の内容に問題があるのではないか」「何か不備があったのではないか」など不安になる教員も多い。反応の無い学生の多くは単に授業についていけなかったり、めんどうだったりして放置しているだけなのだが、前述したように教員にはその学生が教員のアクション(メールや掲示)を無視する理由を把握するすべが無い。こういう状態で、一部の教員は学生に嫌われているのではないか、自身の指導が誤っているのではないかという、負の思考に捕らわれる。
遠隔授業を行う上で、感受性の高い教員は、どうしてもこのあたりの問題が付きまとう。この問題を大学としてケアするかしないかは、その大学の意向によるものだと思うが、授業全体の品質を上げる措置の一つであると言えるだろう。
同様に学生側にも同じような不安を抱えるものが散見される。やはりお互いの意思が正確に伝わらない遠隔授業と言うのは、メンタル面でのケアも含めて考える必要があるのではないだろうか。ただ、学生達の多くは教員よりも順応性が高く、春学期に比べこういった問題は減っている傾向にありそうだ。一方で順応できなかった学生はこういった問題が悪化していると想定される。特に引きこもりがちな傾向のある内気な学生は、低単位者となることが想定され注意が必要だが、学生については成績相談やメンタルケアを多くの大学が実施しており、ある程度は環境が確立している。
春学期と秋学期でこの状況に違いはないはずなのだが、どうも秋学期の方がメンタル的に不安を抱える教員が多い気がする。これはコロナ禍と言う春学期には大手を振って言えた言い訳が効かなくなっているためであると想像に難くない。感受性の高い教員には秋学期のプレッシャーは相当なもののようだ。