格安ノートパソコン の使用感 - 大学の授業で使えるのか?

ASUS VIVO Book の使用感について

ケーズデンキオンラインショップ

 購入価格はケーズデンキでなんと19,800円+税(2020年9月現在で平均価格2万8000円前後)という、パソコンとしては破格のお値段であるVIVO Book E203Mだが、CPUはATOMではなくCeleron N4000 1.10GHzを搭載しており、そこそこ動くのではないかと期待を寄せて持ち帰った。

 しかし、購入後初期セットアップのため電源を入れて、Office 365のインストールを行い、Windows Updateを実施したら半日が過ぎていた。10万円台半ばのPCであれば2時間もあれば終わっている作業だ。こんなにも時間がかかった原因は、やはりインストールにある。Office365やWindows Updateのモジュールのインストールの際、CPUが振り切ってしまい、一つのアップデートが終わってもなかなか次へ進まない。仕事で利用するPCとしては人件費を考慮した場合、このPCはNGである。補足だが、今回購入したVIVO BookはCドライブの容量が64GBある。これにより、Windows UpdateやOffice365をインストールしても空き容量に多少の余裕があった。ただ十分と言える容量ではないため、適宜ディスクのクリーンナップを行うことをお勧めする。

 必要なアプリのインストールや、アップデートが一通り終わった後、会議用にとZoomをインストールしようとしたところ、Windowsストアアプリ以外のインストールが出来ないことが判明した。そう、この超格安といっても良いVIVO Book E203MはWindows 10 Sを搭載していたのだ。このWindows 10 Sと言うのはどういったものかと言うと、Windowsストアアプリ以外のインストールを出来ないようにすることで、悪意のあるソフトウェアやウイルス感染を防ぎ、そのままでも安全に利用できる仕組みとなっているのである。過去に出されたWindows RTと同様、比較的パソコンに詳しくない者でも安全に利用できるのが特徴である。ただし、過去のWindows RTとは違いこのWindows 10 SはSモードと言う状態になっているだけであり、ベースとなっているOSのバージョンに戻すことが出来る。すなわちSモードを解除しWindows 10 HomeやWindows 10 Proにすることが出来るということである。

 さっそくSモードを解除してみたところ、VIVO Book E203Mに搭載されているOSはWindows 10 Homeだった。ハードディスクの暗号化や会社のドメインに参加して利用する要件がない限りWindows 10 Proは必要ないため、家庭での利用であれば十分である。そして、気になるのがSモードを解除したことによってパフォーマンスがどの程度変わるのかと言うことだ。実際解除してみてわかったのだが、パフォーマンスには全く影響がなかった。Windows 10 Sとは何かということを調べた際に「継続するパフォーマンス」と言うような文言を見かけたので、解除するとパフォーマンスに影響が出るのかとも思っていたのだが、そういった意味ではなかったようだ。インストール出来るアプリを制限することで余計なものをインストールすることがなくなるため、パフォーマンスを維持できるという意味だとわかった。

 Sモードを無事解除しZoomをインストールして、試しに会議を開催したところ、大きな問題もなく動作はした。しかし、一つだけ気になったことがあった。Webカメラの画質がとてつもなく悪いのである。読者の中にはWebカメラの画質ぐらい問題では無いと感じるかもしれないが、2万円と言う破格の値段を考慮しても、私には耐えがたいほどであった。まず、全体の色合いが青み掛かっており病人の様に顔色が悪くなってしまうことが気になった。次に解像度の低さが原因で、ジャギーがめだっていた。またGPUの処理能力のせいなのか、ブロックノイズも出ており、それはもう悲惨な画質であった。ただし、使えないということは無く、Zoomで会議を普通に行うことが出来た。これには少々驚いた。実は動画などは古くから高性能なPC出ないとカクカクしたり、時々止まってしまったりして、非常にストレスが溜まるのが普通だと思っていたからだ。2万円のPCでストレスなく会議が出来たことはそれだけで十分価値のある買い物だと言えるだろう。

 次にWordなどのOfficeアプリのレポートをしていきたいと思う。Wordはまさにこの文書の作成に使っており、文書だけの書類であれば全くと言っていいほど問題なく執筆することが出来た。挿絵や図などを駆使していくとさすがに、動作が緩慢になることが予想されるが、ちょっとした記事や、大学のレポート程度では、高価なPCとそん色なく利用できるだろう。Excelは気象庁の気温データをダウンロードしてヒストグラムを作成しパレート線を入れてみたが、このぐらいの作業であれば、まったくストレスなく利用できた。

PowerPointについてもスライドをストレスなく表示することが出来、大きな問題はなかった。こういったことから、確かに性能は高くなく、決して十分とは言えないが、費用面で苦しい場合はこのPCでも授業を受けることが可能だ。

VIVO E203MA-FD082T製品仕様

CPUインテル® Celeron® N4000
OSWindows 10 Home (Sモード)
メインメモリ4 GB LPDDR4 2400MHz
表示機能11.6インチ LEDバックライト WXGA (1366×768) グレア
グラフィックス機能インテル® UHD グラフィックス 600
ストレージ機能eMMC:64GB
Webカメラ30 万画素Webカメラ
ネットワーク機能無線LAN IEEE 802.11a/b/g/n/ac
BluetoothBluetooth® 4.1
インターフェースHDMI出力×1 USB 3.1 (Type-A/Gen2) x 2 USB 3.0 x 1 マイクロホン/ヘッドホン・コンボジャック×1 microSDカードスロット x 1
オーディオ機能ステレオスピーカー内蔵、アレイマイク内蔵
電源ACアダプターまたはリチウムポリマーバッテリー
サイズ幅286 mm×奥行き193 mm×高さ16.9 mm
質量約1 kg
製品保証本体:購入日より12か月間のインターナショナル保証 バッテリーおよびACアダプター:購入日より12か月間の日本国内保証

このパソコンの類似品を購入する際はCPU(CeleronであることAtomは避ける)、メモリ(4GB以上)、ストレージ容量(64GB以上)に注意して購入すれば良い。特にストレージ容量が32GBのモデルを購入した場合、Windows Updateすらまともに出来なくなるため、SDカードなどの外部ストレージを利用した特殊な手順でWindows Updateを実施する必要が出てくる。このあたりの作業は初心者には難易度が高いためストレージ容量が32GBのモデルは購入すべきではない。

最後に、これは好みの問題もあるが、ディスプレイの表示の色温度がかなり高く、青色が強い表示になっていて、私の眼には少し気持ち悪く映ったため、ディスプレイの色の管理機能を用いて好みの色合いに調整した。

あちこち手のかかるこのパソコンを、自分用にすこしずつカスタマイズしていく感覚はなかなかに楽しく、意外な事にお気に入りのパソコンになりそうな予感がしている。ちなみに性能が限られているため、すでにスタートアップの設定は調整しておりTeamsやOneDriveなど利用の予定がないソフトウェアは自動起動しないように設定した。